救急病院は大繁盛
救急用の入り口から病院内に通されて廊下の長椅子に腰を下ろしました。
救急処置室の前には日曜日というのに沢山の人が座っていました。
事故があったのか交通警官の方が何やら書類を書いたり連絡をしたり忙しそうです。
救急車を降りる時に手渡された夫の靴が緊急できたという事を感じさせられました。
滑るように担架のまま処置室に入った夫はどうなったのかわかりません。
夫の靴を持ったまま長い廊下の長椅子で只々待つのみです。

土日の緊急で見てもらえる病院が多くないのか、
その日市内で体調の悪い人のほとんどが訪れているのではと思うほど人の往来が止まりません。
ここにいる人はほぼ全員、何かしらの疾患があるのです。
会計で支払いを済ませている若い男性は水上バイクの事故で運び込まれてきたみたいです。
右腕を骨折したけれど幸い他は問題なさそうで事故現場に残してきた自分の車を運転してもらえる友達を探すため手当たり次第に電話をかけまくっています。
私達と同じ頃に処置室に入った男性はベットで点滴を受けながら病室に消えていきました。
付き添いの家族は心配そうに後を追いかけていきます。
「付き添いの方、処置室にお入りください」
「は、はい!」
看護師の方に呼ばれ慌てて処置室に入りました。
上半身を起こした夫が身の回りを整えていました。
白い服を着た担当医の前に案内されました。
「先生、どうでしょうか?」
担当医は先ほど撮影したMRIの映像を見ながら眉間にしわを寄せて言いました。
「この辺りの小さなポツポツ、脳出血の後です」
「脳出血!脳出血してるのですか?」
「今はしていないですが過去にしてる跡があります。
こんなのが多いと今後も脳出血する可能性があります」
「特に自覚は無かったのですが‥」
「高血圧放置してましたよね、ほったらかし、そりゃそうなりますよ」
「高血圧!そう言えば最近血圧を測っていませんでした‥」
後から合流してきた夫も目が点です。
ここ数年いびきの治療や歯医者や時々風邪ひきで病院に行くことはありましたが
血圧は一度も注意されたことがなかったのです。
2年ほど前に一度脳のMRIを撮影したことがありましたが、その時は何の問題も指摘されていません。
「とにかく、高血圧の治療をして下さい」

私達は今日から高血圧の治療をすることになりました。
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